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マネロン対策が強化!アマギフに及ぼす影響

パソコンを使う犯罪者イメージ

金融庁では、反社組織やテログループに資金が渡るのを防ぐために「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策」を講じています。
2021年12月17日、金融庁では従来の高額送金に加え、一定金額を超えた電子ギフト券・プリペイドカードの譲渡に関し、本人確認を義務付ける方針を固めました。

当ページでは同施策によってAmazonギフト券買取にどのような影響が発生するのか、そもそもマネロン対策とはどのようなものなのか等を確認してまいります。

マネロン対策とは

マネロンとは「マネー・ローンダリング(Money Laundering)」の略です。
日本語に直すと「資金洗浄」という意味になりますが、こちらは一体どのような行為を指すのでしょうか。
警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)では、マネー・ローンダリングを以下の通り定義しています。

“マネー・ローンダリング(Money Laundering:資金洗浄)とは、一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関等による収益の発見や検挙等を逃れようとする行為を言います。”

引用元:警察庁JAFICトップページ

なぜ、資金洗浄をする必要があるのか。
それは犯罪の事実を隠すため又は逮捕を免れるために他なりません。

紙幣の場合は「紙幣番号」、高額商品には「シリアル番号」といったように、金品には特定できる要素が数多く存在します。(例えば、日本の紙幣には全て紙幣番号が附されておりますので、銀行強盗や誘拐などの犯罪で得たお金であれば、当該紙幣が使用されることによって行方を辿ることが可能です。)
したがって、不正や犯罪よって得た金品をそのまま使うと、逮捕や居場所の特定に繋がる可能性があり、犯罪者は間接的な方法で使用又は現金化を図るのです。

マネロンの手口

封筒から飛び出した現金

マネー・ローンダリングの手口には、大きく分けて「プレイスメント」「レイヤーリング」「インテグレーション」の3つがあります。(マネロン三段階説)

プレイスメント(Placement)は、直訳すると「置くこと」です。
具体的には「犯罪収益を金融システムに組み込む段階」と定義されており、銀行口座への入金をはじめ、M&A・設備投資・仕入れといった事業用として使用することで、まっとうな資金であることを仮装します。

例えば、全く関連の無い休眠会社の口座を通し、自社の口座への入金を複数回に亘って行う等の偽装がこれに当たります。
レイヤーリング(Layering)とは「資金の出所を不明瞭化する段階」のことで、例えば海外口座を経由する・給料や諸費用等を仮装するなど、資金の流れや出所を分かりづらくする偽装です。

インテグレーション(Integration)は「資金を合法的な経済活動に投入する段階」のことをいい、高額な絵画や宝石、不動産を購入して売却するなどの行為が該当します。
売買自体は正当な取引であるため、売却後に得たお金は言わば「資金が洗浄された綺麗な状態」となるためです。 また、証券口座を通し、現金を株式や債券に換える→売却するといった手口もインテグレーションに分類されます。

犯罪収益移転防止法とは

犯罪収益移転防止法とは、マネー・ローンダリングを防ぐためにできた法律です。
前述した通り、マネロンの手口として高額商品の購入や金融機関が利用されるため、これらに係わる事業者を「特定事業者」と定め、一定の義務を設けています。

特定事業者としては、金融機関やクレジットカード会社、宅地建物取引業者、リサイクルショップや金券ショップなどが挙げられ、その他士業系事業者にも取引の際に一定の義務(本人確認をしなければならない等)が生じます。 具体的な義務としては以下の3項目が挙げられます。

特定事業者の義務 (1)本人確認の義務付け(第4条)
(2)取引記録の作成(第6条・第7条)
(3)一定の要件を満たす取引の届出(第9条)
特定取引の例 銀行口座の開設、クレジットカードの契約、大口現金取引(200万円超)、現金送金(10万円超)、外貨両替(200万円超)、保険契約、不動産取引等

もちろん、全ての取引で上記を実施しなければならないという訳ではなく、同法に定義される「特定取引」に該当した場合にのみ上記の義務が生じます。

Amazonギフト券への影響

冒頭でもお伝えした通り、金融庁では2021年12月17日に「高額電子ギフト券」についても本人確認を義務付ける方針を打ち出しています。
具体的には1回辺りの譲渡金額が10万円超又は1か月の累計購入額が30万円超の場合は本人確認を義務付けるというものです。

つまり、元々Amazonギフト券買取業者側には古物商取引法に基づく本人確認が必要でしたが、利用者側はさらに購入時にも本人確認をされるということになります。
なお、Amazonギフト券だけではなくプリペイドカードやその他電子ギフト券が対象ですので、販売元(AmazonやEC事業者)は今後特定事業者として報告義務が生じる恰好です。

大きな影響はない?

電卓と通帳と現金

事業者側の負担が増えるのは間違いありませんが、利用者側にとっては本人確認手続が1つ増えるだけですので、今のところ大きな影響は無さそうです。(いずれにせよ買取業者に対しては本人確認が必要となるため)
一つ気になるのは、Amazon側がどのように対策を講じるのかという点です。

もしかしたら購入制限(1回の購入で10万円までなど)を設けるかもしれませんし、Amazonギフト券の購入を事前に申請しなければならなくなるといった可能性は十分に考えられます。

また、高額利用の場合に届出や報告が義務付けられる可能性もあり、同手続きによって不利益を被る恐れ(例えばクレジットカード会社や関係各庁に報告がされるなど)も否定できません。
いずれにせよ、Amazonの今後の動向には注目する必要がありそうです。