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返礼品にAmazonギフト券が登場

ふるさと納税の商品を購入できるサイト

静岡県小山町はふるさと納税の返礼品として、なんと「Amazonギフト券」を用意しており今大変話題になっています。
現金に近い特性を持つためか全国から注文が殺到しておりますが、一方で「特産品でなくてAmazonギフト券?」と疑問を呈する声が多いのも事実です。
今回は、返礼品としてAmazonギフト券を贈ることに問題はあるのか?今後普及する可能性はあるのか?等について考察していきたいと思います。

問題視された経緯

問題(?)が発覚したのは2018年9月頃でした。
「Amazonで静岡地域の特産品のショッピングをお楽しみください」との案内と共に土日限定でAmazonギフト券を返礼品にしたことで、たちまち話題となります。
9月~10月の複数回に渡って神出鬼没で登場させたことにより、ネット上では「裏ふるさと納税」として都度大変な盛り上がりを見せました。
一度は10月末で終了した当該返戻品ですが、総務省は一部の自治体が「裏メニュー」のような形で用意していることを問題視し、全国の自治体に注意喚起を呼びかける事態となったのです。

返礼品の内容

小山町に納税するとAmazonギフト券が返礼される

静岡県小山町にふるさと納税すると、以下の通りAmazonギフト券が返礼品として受け取れます。
※2018年11月23日時点の内容です。

納付金額 返戻されるギフト券の額
25,000円 10,000円分
50,000円 20,000円分
100,000円 40,000円分
200,000円 80,000円分
300,000円 120,000円分
400,000円 160,000円分
500,000円 200,000円分
1,000,000円 400,000円分
2,000,000円 800,000円分

上記をみてみますと、利用金額を問わず納税額に対して40%相当のAmazonギフト券が返礼品として受け取れることが分かります。驚愕の“200万円プラン”も用意されており、かなり強気な内容と言えるのではないでしょうか。
なお、掲載しているふるさと納税サイトの「ふるなび」では、別途納税額の1%相当のAmazonギフト券がプレゼントされますので、実質41%相当が還元される計算です。
静岡県の特産品を買うように案内していますが、規約や法令の制限があるわけではありませんので、実質Amazonギフト券の使途は自由です。

多彩な返礼品ラインナップ

返戻品が発送されるのは申し込みから概ね2か月後となりますが、1万円分のAmazonギフト券がもらえるコースでは申込後数日で既に300件以上のレビューが寄せられており、今後も申込者は増えていくものと推定されます。
なお、小山町ではAmazonギフト券の他、サーティーワンアイスクリーム商品券、リンガーハットグループ共通商品券、ヘリコプター周遊券、健康食品・食料品、飲料、クレンジングオイル、検査キット、外国産オリーブオイル、HISギフトカード等も用意しておりましたが、2018年9月に総務省の指導により、大半は姿を消してしまいました。

Amazonギフト券の再登場

総務省の取り締まりを逃れるためか期間限定での出品を繰り返していた小山町ですが、11月上旬に総務省による注意喚起がなされたことや大手メディアで大々的に報道されたことで“流石にもうやらないだろう”という見方が有力でした。
しかしながら、そんな風潮をあざ笑うかのごとく、2018年11月23日の3連休初日に再度Amazonギフト券を登場させたことによりネットは大盛り上がり。
当初は3連休限定との見方が強かったのですが、連休終了後もしばらくAmazonギフト券を掲載した状態が続きました。

高額返戻品で実質の減税に

ふるさと納税は、納付した金額を所得税や住民税の「控除額」として充当できる制度ですので、納付額が大きければ大きいほど、税金が低くなります。
ただし、余りにも大きい金額を納付してしまうと逆にふるさと納税の方が高くついてしまい、損をしてしまうこともありますので、「自己負担額が2,000円になるように」調整するのが一般的です。

減税スキーム

詳しい計算式は割愛しますが、年収400万円で約5万円まで自己負担額が2,000円となります。そのため、400万円の場合ですと所得税・住民税を合わせて30万円ほど納付する計算となりますが、内5万円をふるさと納税することで4万8,000円の減税となり、実質の負担額が変わりません。

所得税・住民税 ふるさと納税額
ふるさと納税前 300,000円
ふるさと納税後 250,000円 50,000円

※上記はあくまで例であり、実際の所得に応じて変動します。

したがって、返戻品が実質2,000円負担だけで手に入ることになりますので、返礼品が高額であればあるほどお得になるのです。
さらに、Amazonギフト券は換金率90%の上、他の商品との交換(Amazonで購入)することもできるため、ほぼ現金に近い性質を持っていると言えます
仮に5万円をふるさと納税した場合には2万円のAmazonギフト券が貰えますので、「2万円×90%-自己負担分(2,000円)=1万6,000円」が手に入る計算です。

ついに規制か

大きな減税効果を得られると大変話題になっていたAmazonギフト券の返礼ですが、2019年2月、遂にふるさと納税ルールを明記した地方税法改正案が閣議決定されました。

今までのような高額返戻品は難しくなるとみられており、施行後にギフト券の類を見ることは恐らくないでしょう。なお、小山町も2019年2月現在ふるさと納税を中止しており、Amazonギフト券を直接的な返戻品として設定してはおりません。
ただし、今までの経緯をみても、いきなり復活する可能性は十分に考えられます。
興味があれば、Twitterや各地方公共団体のHP等を小まめにチェックし、返礼品情報をいち早くキャッチするとよいでしょう。